新見市地域おこし協力隊リレー企画「協力隊通信」
(更新)
Written by Miura
私は3人兄弟の長女として、大阪市の中心部で育ちました。
小学校には地下鉄で通い、実家から梅田までは自転車で行ける距離。都会生まれの都会育ちです。
若い頃は、そこに暮らす以外の選択肢などほとんど知らず、それなりに都会の生活を楽しんでいました。
一方で、二十歳前後に人生の中でいくつかの挫折を経験したことから、心が少し弱っていた時期があります。その頃、心理カウンセラーの勉強をしたり、海外へ出たりする中で、自分がいかに小さな凝り固まった価値観の中で生きていたのかを知りました。
世界はもっと広いんだ。
そう気づいたことで、少しずつ心が元気を取り戻していきました。
「さあ、ここから自分の人生を切り開いていこう」
そう思い始めた矢先、20歳を目前に弟が亡くなりました。
そこから、結婚、出産、娘の病気、離婚などを経て、すべてを書こうとすると到底収まりきらない、比較的“波乱万丈気味”な人生前半だったように思います。
ちなみに、どの占いを見ても「波乱万丈、そして大器晩成」だそうです(笑)。
私はもともと、本を読んだり知識を得たりすることが大好きです。
でも、知っただけではなかなか本当の意味では理解できない。
自分でやってみて、体験して、リアルに感じて、それを噛みしめながら自分の中に落とし込んでいく。どうやら昔から、そんなタイプだったようです。
そして新見に移住し、都会から離れてみて、もう一つ気づいたことがあります。
私は思っていた以上に、周りの環境からたくさんの影響を受けていたということ。
都会では家と家の距離も近く、いろいろな匂いや大きな音、人の気配があります。それを当たり前だと思っていたけれど、自然の多い環境に身を置いて初めて、自分がそうしたものを敏感に感じ取りながら暮らしていたことに気づかされました。

娘には知的障害があり、てんかん発作もあります。
娘との暮らしには、たくさんのハンディがありました。
そして当事者になって初めて、日常生活の中には、他の人にはなかなか説明しづらい小さな負担や緊張がたくさんあり、それらが少しずつ心や身体に蓄積していくことを知りました。
もっと障害のある人や、その人たちを支える人の世界を知りたい。
そう思い、新見へ来る前の約2年間は放課後等デイサービスで働きました。
重度の知的障害やダウン症、発達障害と呼ばれる子どもたち、そして子どもたちを支えるスタッフや保護者の方々と接する中で、少しずつ考えるようになりました。
「当事者でもある私に、できることは何だろう?」
制度や福祉サービスなど、現実的な支援や環境を整えることはもちろん必要です。
でも、それと同じくらい、心が少し緩んだり、「一人ではない」と感じられたりする、人や場所とのつながりも大切なのではないかと思っています。
障害のある人の世界は、自分とは関係のない“特別な世界”に見えるかもしれません。
でも私たちは誰もが年を重ねていきます。
病気になることもあれば、今までできていたことができなくなったり、一人では生活できず、誰かの支えが必要になったりすることもあります。
お金も、健康も、家も、環境も、人との関係も、今あるものがこの先ずっと同じように続くとは限りません。
だからこそ私は、障害のある娘を育てる当事者として、「誰かが支えられる側になった時にも、安心して生きていける環境とは、どんなものだろう?」と考えてみたいと思うようになりました。
豊かな自然があり、農業があり、人と人との距離が近い新見だからこそできることは何だろう。
私はやっぱり、本を読んだり、誰かから聞いたりするだけでは、本当のところは分からない人間です。
だからこれから、実際に地域の中に入り、人に会い、話を聞き、一緒に何かをやってみたい。
うまくいくことだけではなく、難しさや矛盾も含めて、自分自身で見て、感じて、考えていきたいと思っています。
「支える人」と「支えられる人」とを分けるのではなく、誰かができない時には誰かが補い、また別の場面では、その人が誰かを支えている。
そんなふうに、人と人、福祉と農業、そしてこの土地にあるものが無理なくつながり、巡っていく仕組みをつくることはできないだろうか。
まだ、私にも答えはありません。
だからこそ、ここ新見で暮らしながら、一つひとつ自分で体験し、出会った人たちと一緒に考えていきたいと思っています。
そして、そこで見つけたことだけではなく、迷ったことや、うまくいかなかったこと、考えが変わっていく過程も含めて、この「協力隊通信」でお伝えしていけたらと思っています。



三浦 祐美加 隊員
大阪市生まれ。2026年3月に新見市へ移住する前は、堺市で約8年間暮らしていました。
これまで、アロマや医療、ヨガインストラクター養成講座などの分野で通訳・翻訳に携わり、ヨガインストラクターとしても活動してきました。
現在は、13歳の知的障害のある娘と新見市で二人暮らし。娘との暮らしを通して、障害のある人やその家族を取り巻く環境について学びながら、「持続可能なサポートとは何だろう?」と考え続けています。
地域おこし協力隊として、新見の豊かな自然や農業、福祉がどのようにつながっていけるのか。実際に地域に入り、見て、感じて、体験しながら、その可能性を探り発信していきます。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。