新見の秘境を突き進む!!~絶景集落での出会い~
新見の秘境を突き進む~西編~
新見市の一番西はどこ?
お隣の広島県庄原市との境界を見つけに新見市哲西町へ。
一般的な県境越えは、道の駅鯉が窪も面する国道182号線。

ここは看板も大きく、土地勘のない人でも県境を意識できるルートになっている。
哲西の人の生活圏はほぼ庄原市東城町(広島県)といっていい。
国道を通り、買い物は東城に行く。
日々の暮らしで広島県と行き来しているという感覚はあまりないのかもしれない。
しかしそこには異なるアイデンティティがあり、それぞれの特徴・郷土愛を持ち合わせているように私は感じる。
日本人は都道府県という枠に対して強い意識を持ち、岡山県民、広島県民として違う文化が随所に見えるからおもしろい。
すぐお隣さんの東城では、広島カープの帽子を被った少年を目にする。哲西をはじめ新見市内ではまず見られない光景だ。
急に広島愛に満ち溢れる。
この県民アイデンティティこそ、江戸時代の藩制から脈々と受け継がれた日本人の特質であり、文化なのだと思う。
その藩政時代の痕跡が残るスポットが、国道の一本北を通る道にある。

「二本松の国境」として、かつて備中・備後の藩境として番所が置かれていた場所に御境杭木(おさかいこうぼく)という門柱が立てられている。
この門とすぐ側の石碑も同様に江戸時代に作られたもので価値が高いという。

石碑には「哲多郡大竹村」とある。
今は「新見市哲西町大竹」という住所があるが、昔は一つの村だったというのがまた興味深い。
調べてみると、大竹村→野馳村(明治22年)→哲西町(昭和33年)→新見市(平成17年)という編成をたどっている。

こんな歴史を残した県境ってなかなかないんじゃないかな。
国道からは見えないところにあるので、市民でも知らないのではと思うとちょっともったいない。
と、まあここまでは一般的な話。
秘境というには物足りないと思った!?
もちろん!冒険はこれからですよ!

他に県境を抜けるルートはないか。
と、言うことで更に奥に入ってみる。

国道よりもっと北部。ここもまた隠れたルートだ。
合併から20年経とうというのに看板がそのまま。
ある意味レアだな。

まあ、この道を通る人って1日に5人くらいなんじゃないかと思うので(もっといたらすみません)必要性と費用を考えるとそのままになるよなぁ。
ここも秘境感はかなりあるが、さらに奥へ行ってみる。

いつもながら、こんな僻地に家を建てようと思ったものだと感心する。
哲西の人でもここまで奥に来たことないのではと思うくらい道が更に続く。
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そこにまた別の県境集落が現れる!

人はなぜその先を目指すのか。
奥に分け入ることを競っているのかと思うくらい深い。
下界から登ってくれば秘境感がすごいが、集落の人にとってはいたって普通の生活らしい。

「哲西の施設まではちょっと下りゃーええし、買い物も東城に行けばすぐじゃが。」
東城までの道を教えてもらい、さっそく行ってみる。

おお、ここが県境ねきっと。
看板や目印らしきものは何もない。
舗装もなくなってしまった。

もしかして、木が伐採してあるところが境界線かな?
それとも溝がしるし?
所有者が違うのか?

しかし待て、
この先に道が続いてる気がしないんだけどここで合ってる!?

んっ!?道路が繋がっとらんが!
ホンマに合っとるん!?
心配になり、もう一度聞きに引き返す、一応・・・。
「そこじゃが。合っとる。いっつも通っとる。」
いつも通っとる・・・本当かいな・・。

おおっと、崩れてるままだぞ。
あっ、ちなみにもうここは庄原市の管轄で新見市には関係ないのでご安心(?)を。

パッと見ると車が通れるような幅じゃないのがすごいよな。

秘境道路でおなじみ、
「急こう配・崖・ヘアピンカーブ」
の3条件もバッチリ。
とか言って喜びながらも恐る恐る運転。

この木々による日陰トンネルもさすがの秘境感だ。
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そして竹林を抜けた先には広島の秘境集落が現れる。

ここも哲西に負けず劣らずの辺境感だ。
どんな生活なのか興味深すぎる。
この集落に岡山県南から嫁いで来られた方からもまたすごいエピソードを聞くことができた。

「お嫁入りの時は道路が家まで通っとらんで、タクシーで途中まで来てあっこから着物で歩いて来たんよ。しかも冬じゃったけぇ雪がすごかったんじゃが!」
と、その時通った道を指して教えてくれたが、着物でしかも雪道を歩くには絶望的な距離。
朝ドラに出てきそうな世界観だ。
雪のない都市部から来てここで生活するのはさぞ大変かと思いきや、すぐに慣れて気に入ったそう。

彼女の気さくで明るいお人柄があってこそとは思うが、適応力を持つことの大切さを改めて感じる。

帰路、新見市側に戻るためまた森の中へ突き進む私を心配して最後までずっと見送ってくれた。

いつまでもバックミラーに映る彼女の姿がとても名残惜しく、県境超えがちょっと切なく感じた。
しかし、秘境集落の人の温かさは県を超えて共通だった。
広島県のことがもっと気になったし、身近に感じた出会いになった。
これも県境に住む面白味の一つ。新見の特権だ。
三浦 美子 Miura Yoshiko
新見市地域おこし協力隊として、2023年に移住。
観光業の経験から、新見の魅力を発信する企画やイベントで活動中。
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